どうも、フリーランスエンジニアのMakotoです。
こちらの記事では、クラウドの登場によりサーバを所有する必要がなくなった点を述べました。
今回は、クラウドの意味をもう少し深堀した上で、クラウドを利用するメリットをオンプレミスと比較しながらまとめてみたい思います。
クラウドの意味
みなさんが日頃耳にする「クラウド」という言葉は、正確には「クラウドコンピューティング」という言葉の略になります。
クラウドコンピューティングとは、インターネットなどのネットワークを経由して、コンピューター資源をサービスという形で提供する利用形態のことをさします。
クラウドの5つの特徴
サーバなどのコンピューター資源をサービスという形で利用するのであれば
と疑問に思われるかもしれません。
クラウドという言葉を耳にし始めたころは、インターネット経由で利用できるサーバであれば何でもかんでも「クラウド」と呼ばれていたような気もします。
現在ではアメリカのNISTという機関が「こういった特徴を備えているものがクラウドですよ」と定義しています。日本語訳されたものがIPAに公開されていますので資料をご覧になりたい方は こちら のリンクから確認してください。
1.オンデマンドセルフサービス
一言で表すと「自分で作業できる」ということです。
サービスの提供者と直接やりとりせずとも、利用者は必要な時にWeb画面などからサーバを調達することができます。
Azureの場合、Web画面のツールのことを「Azureポータル」と呼び、メニューをクリックして進めることで、簡単に、素早くサーバを起動したりできるようになっています。
2.幅広いネットワークアクセス
パソコンやスマートフォンなど様々なデバイスからインターネットを通じてコンピューティング資源を利用できるということです。オンデマンドセルフサービスと合わせて、利用者は日常利用するインターネット経由で簡単にクラウドを利用できます。
3.リソースの共用
クラウド事業者は、自社データセンターに大量のサーバを設置し、それらコンピューティング資源を「サービス」の形で提供しています。
そういったCPUやメモリ、ディスクなどのリソースが集積(プール)されていて、利用者はそれらの一部を需要に応じて利用できるということです。
4.スピーディーな拡張性
必要に応じてシステムの拡大や縮小を即座に行えるということです。
台数を増減させたり、性能を上げ下げすることを「スケール」と呼び、クラウドを学ぶ上で頻出します。なお、スケールできる能力のことを「スケーラビリティ」といいます。
- スケールアウト ・・・ 台数を増やす
- スケールイン ・・・ 台数を減らす
- スケールアップ ・・・ 性能を上げる
- スケールダウン ・・・ 性能を下げる
- 自動スケール ・・・ 負荷の状態によって自動的に台数を増減すること
5.サービスが計測可能
どれぐらい使ったか計測できる仕組みを持ち、使った分だけ支払うことができるということです。使った分だけ課金する仕組みを「消費ベースモデル」と呼びます。
スマホの通信料のような「従量課金」のことだと捉えておけば問題ないと思いますが、ここでいう「計測可能」は課金に関することだけでなく、利用時間や容量などに応じて予測したり制限する場合の用途も含みます。
- オンデマンドセルフサービス
- 幅広いネットワークアクセス
- リソースの共用
- スピーディーな拡張性
- サービスが計測可能
クラウドのメリット
これら5つの特徴を備えていることで具体的にどういったメリットがあるのでしょうか?オンプレミスにサーバを構築する場合と比較してみましょう。オンプレミスと対比される代表的なメリットは次のようになります。これが全てではありませんが、フェーズごとに比較してみましょう。
見積もり
オンプレミスの場合、一度構成を決めて構築してしまえば後から変更するのは容易ではありません。例えば、CPUやメモリ、ディスク容量を増やしたい!となってもすぐには難しいですよね。なので、ある程度の需要を予測して余裕をもって多めに構成する必要がありました。
クラウドの場合、もし性能や容量が不足してもすぐに拡張することができ、逆にオーバースペックだった場合も簡単に縮小できる場合がほとんどです。
もちろんある程度の予測は必要ですが、仮に見誤ってもすぐにリカバリできるため大きなリスクとなりません。こういった特徴から最小限の構成で見積もれば良いケースがほとんどで、スタートアップ企業などが小さく始める「スモールスタート」にも適しています。
また、金額を見積もる場合、オンプレミスの場合はDELLやHPなどのメーカー、もしくはその代理店に依頼して見積もりを出してもらいますが、クラウドの場合はサービスごとの単価が公開されていますし、Azureの場合は「料金計算ツール」で簡単に見積もりを作成することもできます。
調達
オンプレミスの場合、モノの調達にはどうしても時間がかかってしまいます。サーバを発注してから納品されるまで数週間はみておく必要があります。
クラウドの場合、Azureポータルなどからポチポチと操作するだけで数分でサーバを起動することができます。実際の起動にかかる時間はサービスや構成によるところもありますが、メニューの操作含めても1時間もあれば十分だと思います。
設置・セットアップ
オンプレミスの場合、データセンターに出向いてサーバを設置し、その後にOSインストールや設定を行う必要があります。また、メモリ増設など拡張作業が必要になった場合にも現地作業が必要になります。
クラウドの場合、インターネットに接続できる環境があればオンラインでこういった作業が完結してしまいますので、迅速に対応することができます。(そもそもサーバを所有しないので設置作業は必要ありません)
運用
システムが完成するとサーバを運用するフェーズになりますが、オンプレミスの場合、所有するサーバは「資産」となり、構築にかかった費用は初期費用として計上して耐久年数に応じて減価償却します。
例えば、トータル100万円かかった費用を5年で減価償却する場合、20万円×5年となり、企業の売上に関係なく毎年20万円を減価償却費として計上します。
クラウドの場合、「消費ベースモデル」により使った分だけ課金され、利用料をその都度支払います。
AZ-900の試験では、オンプレミスのような「設備投資」の費用と、クラウドのような「事業運営費」の違いを次のような財務用語を交えて問われます。初見だと非常にややこしいですが用語を丸暗記しておきましょう。
資本的支出:CapEx (Capital Expenditure)
キャペックスと読む。
設備投資など資産になる支出のこと。高額になりがち。
オンプレミスのサーバ、回線などが該当
運営支出:OpEx (Operational Expenditure)
オペックスと読む。
企業が日常的な業務を運営するために必要な支出のこと。
クラウドの月額費用の他、家賃、人件費、光熱費、通信費などが該当
会計の観点では、CapExは高額になるうえに長期的な投資になるため、リスクが伴います。サービスが成長しなければ投資が期待するリターンを生み出せない可能性も考えられます。
OpExでは初期投資を抑えることができますし、ビジネスの需要に応じてコストを調整することができます。つまり、多くの場合CapExよりOpExのほうが企業にとって都合が良いわけです。
まとめ
今回はクラウドの定義、クラウドを利用するメリットを解説しました。クラウドの定義にある5つの特徴をおさえた上で、オンプレミスと比較してどういったメリットがあるのかをしっかりと理解しておきましょう。
- クラウドには5つの特徴がある
- オンデマンドセルフサービス
- 幅広いネットワークアクセス
- リソースの共用
- スピーディーな拡張性
- サービスが計測可能
- オンプレミスと比較した場合のクラウドのメリットを理解しておく
- 投資項目の用語としてCapEx(資本的支出)とOpEx(運営支出)がある