どうも、フリーランスエンジニアのMakotoです。
2022年5月5日に、AZ-900の英語試験が改定される予定です。改定されました。
AZ-900は2019年5月に日本語での試験が開始され、これまでも何度かアップデートを繰り返してきました。(ほとんど影響のないマイナーなアップデートも含みます)
今回の改定では試験範囲が大きく変更されるようで、カットされる内容、新しく追加される内容がいくつかありますので、改定内容をざっとまとめてみました。
今まさに学習中の方、これから受験を考えられている方にとっては重要な内容です。学習する内容が無駄にならないよう、ぜひ最後までお読みください。
と、その前に注意点をお伝えします。
- 英語版試験の更新情報(2022年5月5日)を元にしています
- 原文を元に翻訳していますが多少の意訳を含みます
日本語版試験の改定時期は未定です
→ 2022年8月5日頃に改定されたようです
日本語試験は2022年5月5日には改定されません。フォーラムによると2022年7月12日の予定のようです。(多少時期がずれ込む可能性もあります)
→ こちらのスレッドによると、当初の予定より遅れて2022年8月5日頃に改定されたようです。
また、本記事の内容は英語ドキュメントを元に整理していますが、その網羅性、信憑性を保証するものではありません。最新の情報は公式ドキュメント(日本語)をチェックしてください。
改定のポイント(結論)
先に結論。一番のポイントは「もう学習を始めている人は改定前に受験したほうが良いかもしれない」ってことですね。
- 試験範囲の分野が6つ → 3つに統合
- クラウドの概念はほとんど変更なし
- 全体的に高度なトピックは除外
- すでに学習中の人は受験タイミングの検討要
改定される前に受験したほうが良いかどうかは学習状況にもよりますので一概には言えませんが、削除されるトピックを含めてほとんどのAzureサービスの学習を終えている方は早めの受験をオススメします。
それでは、改定内容を順番に見ていきましょう。
改定の内容を確認する方法
2022年5月5日に改定された旨は公式ドキュメント(英語)で確認できます。
Important
The English language version of this exam was updated on May 5, 2022. Please download the skills measured document below to see what changed.
翻訳するとこうなります。
本試験の英語版は、2022年5月5日に更新されました。何が変わったかは、下記のスキル測定資料をダウンロードしてご確認ください。
スキル測定済み資料は公式ドキュメント内の「Skills measured」の一覧の下にある「Download exam skills outline」からPDFを閲覧、ダウンロードできます。このPDFの内容でどこが変更されるのか詳しく知ることができます。
変更箇所がまとめられた表を抜粋します。左が旧で右が新です。
出典: Exam AZ-900: Microsoft Azure Fundamentals – Skills Measured より抜粋して一部マーカー加工
「1.1」などの項番は、1つ目の分野「クラウドの概念」の中の1つ目のトピック「クラウドサービスを利用するメリットと注意点を確認する」といった具合に分野の中のどのトピックか?を指しています。
あとで解説しますが、注目すべき箇所は「Deleted」になっている3か所です。その他はタイトルなどの修正、移動、統合した箇所を示しています。
なお、公式ドキュメント(日本語)のトップページではまだ予告は掲載されておらず、最終更新情報のままになっています。5月5日に更新される予定とありますが「英語版」と明記されているので日本語版の情報はまだ明示されていません。
なお、前回の2022年1月25日の改定は一部のサービス名が修正されただけで、受験には全く影響のない内容だったようです。
重要
この試験の英語版は、2022 年 5 月 5 日に更新されます。 以下のスキル測定ドキュメントをダウンロードして、変更点をご確認ください。
現行の試験範囲(2022年4月時点)
2022年4月時点の試験範囲は次のとおりで、6つの分野から出題となっていました。中でも「クラウドの概念」の配分が高いですね。3つ目の「コアソリューションおよび管理ツール」あたりからAzureのサービス名が続々と登場して挫折しそうになります。笑
新しい試験範囲(2022年5月5日~)
2022年5月5日~の試験範囲は次のとおりで、6つ → 3つの分野にギュッと統合されました。一見すると試験範囲が狭くなったように見えます。
たしかにそういった側面もありますが、2つ目の「アーキテクチャとサービス」のところにセキュリティの内容が、3つ目の「管理とガバナンス」のところにコストの内容が含まれていたりするので、個人的には分類の方法がやや大雑把になっただけ、という印象です(昔に戻った感じかな?)
新旧で比較してみる
6つ → 3つに分野が統合されたのはわかりましたが、どの内容がどこへ統合されたのかもう少し詳しく見ていきましょう。
変更箇所サマリ
便宜上、番号を振っています。左が旧で右が新です。
分野別の変更点
矢印がごちゃごちゃしているので、分解して確認してみます。
①の「クラウドの概念に関する説明」は新旧でほとんど変化はありません。細かい話をすると、タイトルやトピックの文言、項番が変わっていますが、ここではマクロ視点で見ていきます。
新②の「Azureのアーキテクチャとサービスに関する説明」もそのまま旧②からスライドしていますが、ここに旧④⑤の内容が入ってきます。
新③も同様で、ここに旧⑤⑥の内容が入ってきます。コアソリューションに取り消し線を引いているのは前述のとおり削除されるためで、IoT、ビッグデータ、AIあたりの内容がカットされます。
旧④のセキュリティ関連は新②の中に統合されています。
ただし、後述しますがファイアウォールなどネットワークセキュリティ関連のサービスは文言が消えておりカットされるようです。
旧⑤のID、ガバナンス関連は新②③に統合されています。
MicrosoftおよびAzureのプライバシー、コンプライアンスに関する内容は削除されます。
旧⑥のコスト管理は新③に統合されています。
サービスレベルアグリーメント(SLA)に関する内容は削除されます。
改めてサマリ結果を見てみましょう。
「クラウドの概要」はそのままで、新②③にはいくつかの内容が統合され盛りだくさんになっています。結果的に、一つの分野で扱うトピックが増えており、配分も大きくなっているということですね。
削除された箇所を整理
削除されたトピック
削除されたトピックについて整理します。前述の表で「Deleted」になっている3か所以外にもしれっとサービス名が消えている箇所があります。
まず1つ目の「Deleted」のコアソリューション。
具体的にはIoT、ビッグデータ、AI、サーバレス、DevOps関連が削除されています。
3.1.Azureで利用できるコアソリューションについて説明する
- IoT Hub、IoT Central、Azure Sphere のメリットと使い方
- Azure Synapse Analytics、HDInsight、Azure Databricksのメリットと使い方
- Azure Machine Learning、Cognitive Services、Azure Bot Service のメリットと使い方
- Azure Functions、Logic Appsを含むサーバーレスコンピューティングソリューションのメリットと活用方法
- Azure DevOps、GitHub、GitHub Actions、Azure DevTest Labsのメリットと使い方
このあたりは専門性の高い分野なので、個人的には入門資格から削除されたのは納得感があります。クラウド初心者にとってはこれは嬉しい改定かもしれません。
次に2つ目の「Deleted」のプライバシーとコンプライアンス。
Microsoftのプライバシーに関する声明、オンラインサービス条件、コンプライアンスドキュメントあたりの内容が削除されています。
5.3.プライバシーとコンプライアンスについて説明する
- Microsoftのセキュリティ、プライバシー、コンプライアンスに関する基本的な考え方
- Microsoftのプライバシーステートメント、オンラインサービス条件(OST)、データ保護修正条項(DPA)の目的
- トラストセンターの目的
- Azureコンプライアンスドキュメントの目的
- Azure Sovereign Regions (Azure Government クラウドサービスおよび Azure China クラウドサービス) の目的
ただ、新試験の範囲を見ると、
・トラストセンター → 新③
・Azure Sovereign Regions(特殊リージョン) → 新②
にそれぞれ記載があるので、まるまる削除されるわけではなさそうです。
そして3つ目の「Deleted」のSLAとライフサイクル。
SLAに関する内容、パブリックプレビューや一般公開(GA)などライフサイクルの内容とも削除されています。
6.2.AzureのSLAとライフサイクルについて説明する
- Azure Service Level Agreement (SLA)の目的
- SLAに影響を与える可能性のあるアクション(例:アベイラビリティゾーン)を特定することができる
- Azure のサービスライフサイクル(パブリックプレビューと一般公開)
削除されたサービス
続いて「Deleted」と記載はないものの、トピックの中で名前が姿を消しているサービスについて整理します。細かい個所を省くと大きく2か所あります。
まず、データベース関連がごっそりなくなっています。
2.2.Azureで利用できるコアリソースを説明する
- Cosmos DB、Azure SQL Database、Azure Database for MySQL、Azure Database for PostgreSQL、Azure SQL Managed Instanceのメリットと使用方法
- Azure Marketplaceの利点と使用方法
そして旧④だったセキュリティ関連もほとんど姿を消しています。逆に残っているのはMicrosoft Defender for Cloud(旧称 Security Center)くらいです。
4.1.Azure のセキュリティ機能を説明する
4.2.Azureのネットワークセキュリティについて説明する
- Azure Key Vault、 Azure Sentinel、 Azure Dedicated Hostsの機能と使用方法
- ネットワークセキュリティグループ(NSG)、Azure Firewall、Azure DDoS 防御の機能と使用方法
削除された箇所まとめ
以上をまとめると削除されたトピック・サービスは次のようになります。
個人的にはデータベース、ネットワークセキュリティは実務で触れる可能性が高いので残した方が良かったのでは?と感じました。特にNSG。ただし、仮想マシンに関連して出題される可能性はあります。
追加された箇所を整理
最後に新しく追加されたサービスです。一気にどうぞ。
- Azure Virtual Machine Scale Sets
- Azure DNS
- パブリックエンドポイントとプライベートエンドポイントの定義
- AzCopy、Azure Storage Explorer、Azure File Sync などのファイル移動オプション
- Azure Migrate、Azure Data Box などの移行オプション
- Azureの外部アイデンティティとゲストアクセス
- ゼロトラストの概念
- Microsoft Defender for Cloud
- Azure Arc
Microsoft Defender for Cloudは旧Security Centerのことですが、統合されたサービス名として新登場という扱いで記載しています。
他にも、クラウドの特徴として「信頼性」や「予測可能性」というキーワードも登場していますが、旧①にあった「弾力性」「俊敏性」「ディザスタリカバリ」あたりの延長として問われるのかもしれません。現時点では不明です。
まとめ
今回は2022年5月に英語版試験で改定された内容を整理してみました。
総じて、追加されたサービスより削除されたサービスの方が多いと思うので、分野が絞られた分だけ新試験のほうが学習がしやすいのかもしれません。
これからAZ-900を学習しようと考えている方は、書籍など市販の教材は対応版を待った方が無難だと思います。Microsoft LearnやMicrosoft Virtual Training DaysなどMicrosoft公式の教材、オンライントレーニングは追従が早いかもしれません。
このブログでは新試験の対応状況は随時更新する予定です。また、私がUdemyで販売している試験対策問題集も日本語試験が改定され次第、追従する予定ですのでご活用いただけると幸いです! 改定に合わせて新試験の範囲の問題を追加しましたのでご活用ください!
それでは、また。